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怪奇観測所 Center for Gothic Phenomena

海外の怪奇な話、都市伝説、オカルト話を翻訳してみる。(This website includes English translations of Japanese urban legends, scary tales and strange stories.)

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ホムンクルス

心理学者のカール・ユングは、錬金術についても研究しているが、ホムンクルスについて初めて記述した錬金術の文献は、紀元3世紀に書かれた『ゾシモスの幻』だと考えていた。ただし、この書ではホムンクルスという言葉は使われていない。
ゾシモスは、男が剣で自分の身体を突き刺し、我慢できないほどの苦しみにもだえる、という幻を見た。男の眼は血のように真っ赤になり、口から肉を吐き出し、自分とは反対の物に姿を変え、バラバラに切断されたanthroparionに姿を変えた。(anthroparionとは、ギリシャの錬金術で使われた言葉で、ゴーレムのような人造生命を指す。ただし、ゴーレムとは違って意志や知性を備えている。)男は歯で自分の肉を食い破り、自分の身体の中に埋没した。これはウロボロスをかなりグロテスクに擬人化したものと言える。ウロボロスとは、自分のしっぽに噛みついているドラゴンであり、錬金術ではdyophysite(両性性。二つの原理の均衡)を表す。ゾシモスはその後にも、真鍮人、鉛人などのいくつかのホムンクルスに出会っている。ホムンクルスは耐え難い苦痛に身をさらし、錬金術的な変身を遂げる。ゾシモスは、人造人間の製造については何も語っておらず、錬金術を探究するために無生物である金属の擬人化を行った。
イスラム錬金術では、高名なジャービル・イブン=ハイヤーン(ヨーロッパでは後にゲーべルの名で知られる)などの一部の錬金術師の目的は、Takwinであった。錬金術においては、Takwinは、実験室における人工生命(人造人間を含む)の創造を意味する。
他の錬金術師は、別のホムンクルス製造術も紹介している。例えば、マンドラゴラ(mandrake)を使用する方法である。よく知られている話では、縛り首にされた囚人の精液が落ちた場所からこのマンドラゴラという植物が生え、その根は人間の姿に似ているという(非常に似ている場合やそれほど似ていない場合もある)。根は、金曜の夜明け前に黒犬によって引き抜かれなければならず、洗った後にミルクと蜂蜜(および、場合によっては血)を与えられなければならない。こうすると、マンドラゴラは小さな人間へと成長し、主人を守るようになる。
他にも製造術はあり、18世紀のギーセン大学のDavid Christianus博士が次のような製造術を紹介している。まず、黒鶏が産んだ卵に小さな穴をあけ、豆粒ほどの卵白を人間の精液と入れ替える。それから、まっさらな羊皮紙で穴を封じ、太陰暦の3月1日に卵を肥やしの中に埋める。30日後に卵から小さな人間が現れ、ラベンダーの種とミミズを毎日与えると、お返しに主人を助け守るようになる。



前成説
遺伝についての哲学的考察である前成説(preformationism)では、卵子か精子が、ホムンクルスという完全な人間の形をした生命体を内包していると考えられていた。卵子と精子のどちらが内包しているのかについては、喧々諤々の議論があった。成長とは、この生命体が完全体へと大きくなるプロセスのことであった。
ホムンクルスという言葉は、受胎と誕生に関する議論でのちに使われた。Nicolas Hartsoekerはanimalcules(微生物)が人間や他の動物の精液の中に存在していることを発見した。これが精子論の始まりだった。精子論者は、精子は「小さな人間(ホムンクルス)」であり、女性の身体の中に置かれると子供に成長すると考えた。彼らには、この解釈は受胎のさまざまな謎をうまく説明していると思えた。しかし後に次のような指摘がなされた。つまり、もし精子がホムンクルスであり、サイズ以外は大人と同じであるのなら、ホムンクルスも精子を持っているはずであるという指摘である。これは、ホムンクルスが延々と連鎖する「reductio ad absurdum(背理法)」に帰結するが、精子論者たちは、これを精子論の致命的な欠陥とは考えなかった。これによってアダムの罪が全ての人間の罪になることがうまく説明できたからである。全ての人間はアダムの下半身の中に存在していたというわけだから。また、精子論では、なぜ子供は父親だけでなく母親にも似るのかということが説明できなかったが、一部の精子論者は、子宮の中で育つうちに、ホムンクルスは母親の性質を取り込むのだと考えた。

現代科学
ホムンクルスという言葉は、心理学のような今日の学問分野でも広く使われている。ホムンクルスという言葉は、ゆがんだ人間の縮尺模型を指し、この模型は、人体の個々の部分が体性感覚皮質において占める関連領域を表したり(感覚ホムンクルス)、運動皮質において占める関連領域を表す(運動ホムンクルス)。運動ホムンクルスと感覚ホムンクルスはどちらもたいてい小人として描かれ、それぞれ中心前回と中心後回の上に重ねて描かれる。ホムンクルスは、中心前回と中心後回の上で、足が真ん中に、肩が水平になる(運動と感覚のどちらについても)。顔は身体に対して逆の位置になり、額が肩に最も近くなる。唇、手、足、性器にはたくさんの感覚神経があるため、ホムンクルスは、大きな唇、手、足、性器を持つ。運動ホムンクルスは感覚ホムンクルスに非常によく似ているが、いくつかの点で異なっている。具体的には、運動ホムンクルスは舌の部分が最も水平になっているのに対し、感覚ホムンクルスでは、性器に対応する領域が最も中央にあり、臓器に対応する領域が最も水平になっている。神経学においてはよく、「the little man in the brain(脳の中の小人)」という言い方がなされる。この科学上の模型は、皮質ホムンクルスとして知られている。
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